――大体の男はここで、そわそわしながら下手くそな距離の詰め方してくるんだけど……
(さてさてクズ男の手腕、見せてもらいましょうか。)
「急に呼び出してごめんね?
昨日のアレ見たら、葉澄さんに興味湧いちゃって。」
――キスしてたことですね?
話しながら、葛城くんはゆったりとした歩みで私を壁際へ追い込もうとする。
その意図がわかるから、半歩遅れながら私も後ろに下がる。
とん、と壁に背がぶつかる。
同時に私の顔横に葛城くんが手をついた。
迫り方がスマート。がっつかないとこがいい。
「ああ、アレ。
……変なとこ見せちゃってごめんね?」
見下ろしてくる綺麗な顔に、余裕で笑って見せる。
間近で見ると改めて極上の美しさだ。
「いーよ。今から同じコトするから。」
「えぇ?何それ。」
言いながら、伏し目がちの葛城くんの顔が近づいてくる。
鼻先が当たりそうになるまで、直線的に。
……顔の角度、変えないの?



