純情*ライアー


◆◇◆

人気のない校舎に、私が階段を登る音が大きく響く。


ちなみにオーラルケアはしたから。
キスしたら卵焼き味とか最悪だもんね。


屋上の踊り場手前の階段までくると、葛城くんが壁に背をついて待ちぼうけしてるのが見える。

ただ立ってるだけで絵になるから、イケメンって得よね。



「――お待たせ。葛城くん。」


待たせたけど、謝らない。
ご飯食べてから行くって、ちゃんと言ったし。


私の声に反応して、葛城くんがこっちを向く。


アンニュイな顔が途端に屈託のない笑顔に変わった。


「よかった、ちゃんと来てくれて。」

「約束したでしょ?ちゃんと行くよ。」

階段を上り切って、クス、と笑って肩を竦める。
お互い作り笑顔を貼り付けて、向き合った。


そのまましんと不自然な沈黙が落ちた。