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放課後になってしばらく経つから、廊下に出ても誰ともすれ違わない。
ちょうどお昼時の夏の自然光が、古い校舎の白壁についた何かが擦れた汚れやキズを浮き上がらせる。
それでも全体を見れば白さが輝いて、いつもより爽やかで解放的な空間に見えた。
「そういえば、葵くんは宿題全部終わった?」
「……や、まだ。」
「あー、いけないんだ。明日提出のものもいくつかあるんじゃない?」
横顔の葵くんは、頬の色を隠せてない。
窓から直接光を受ける伏したまつ毛やミルクティー色の髪はキラキラとしていて、ピュアさも全く消えてない。
「ちゃんとなりきらないと、玄関に近づくほど人が増えるからバレちゃうよ?
私もクズの魔の手に落ちた優等生しないとだからさ、どっちが演技上手か競争しよ?」
あはは、と軽く笑って繋がった手を揺する。
“無理だって”と恨みがましく見下ろす目が言っていた。



