純情*ライアー


「手!?」


驚いた葵くんがバッと勢いよく顔を上げた。

上擦った大声が狭い空間に反響する。


不敵に笑う私を見て、じわじわと自分の手を後ろに逃そうとしながら葵くんが後退った。


すかさずそれを捕まえて手の平を合わせるように握ると、
有無も言わさず階段を降り始める。



「ルールは、“駅まで絶対離さないこと”。
それから“クズ城葵らしく堂々とすること”。

――例え誰に見られてもね?」



「この状態で!?無理だって、ちょっと、優里さん!」


繋いだ手を葵くんは握り返さない。


それでも素直に連れてかれちゃうから、よーいスタートと強制的に練習を開始した。