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「――これはこの動詞が未然形でしょ?
だから訳は……ってなるわけ。」
「すごーい、わかった!
さすが優里♡教え上手!」
身を乗り出して莉央のノートを指差しながら解説すると、莉央がポンと手を叩く。
「ねー、葉澄さん。俺も聞きたいトコあるんだけど!」
椅子に腰を戻すと、桐谷くんが頬杖をつきながらこっちを見た。
「いいよ、どれ?」
二つ返事で席を寄せる。
「数学なんだけど、この問2が――……」
「あぁ、ここはね?ここの数字をxに置き換えて……」
今度は桐谷くんのテキストに指を滑らす。
「わかりやすっ」といちいち感動する桐谷くんが、次々質問してくるからそれにずっと応答した。
(葵くん、口数少ないなぁ。)
意識の隅には葵くん。
なぜなら葵くんが、莉央のマシンガントークを聞きながらずっと上の空だから。
――ちゃんと会話回さないと、チャラくないってバレちゃうよ?



