葵くんはまだ惚けているので、私は自分の頬を人差し指でトントンとして、“莉央に気付かれる前に顔直せ”と合図する。
ハッとした葵くんの眉に、キリッと力が入った。
「葉澄さん達も宿題しに来たの?
あっここ座る?ちょうど空いてるけど。」
桐谷くんが自分の隣と葵くんの隣を指差す。
どうしようかと悩むまでもなく、「いいの!?」と莉央がその気になってしまった。
桐谷くんの毒のない爽やか笑顔をじっと見る。
(この偽爽やかくんを近くに置いたら、きっと莉央はころっと騙されてしまうな。)
「じゃ、せっかくだし入れてもらおうかな。」
立ち位置から近い席、というテイで桐谷くんの隣に座る。
莉央はきゃっきゃしながら葵くんの隣に座って、葵くんがまた捨て犬みたいな顔になった。



