「――よ、予想外なとこに触られたから驚いただけ。
それ以外に、他意はないから。」
バツが悪くてぱっと葵くんから顔を背ける。
葵くんはまだ目をぱちくりさせて、ぽかんと私のことを凝視している。
し――ん、と気まずい沈黙。
すると、葵くんが徐に自分の前髪を掻き上げた。
「……一発、どうぞ。」
葵くんの顔も赤い。
気軽に触れた罪悪感でそうしてるってこと?
それに気付いたら、一回だけキュンとした。
無防備に晒された額をぺしんと叩く。
葵くんはまた目を丸くした。
「これで許す。」
所在なさに唇を尖らせ上目にジト、と睨む。
そもそも葵くんはルール違反をしてないから、
許すも何もないのだけど。
気付いてないからまぁいいや、と初めての黒星は隠すことにした。



