「優里さんは物じゃないし。
……その、ちゃんと1人の人だから。
だから気軽に触れちゃいけないと思うというか……!」
しどろもどろ。
何してもいい局面で、気軽に触れちゃいけないなんて初めて言われた。
びっくりして、切り返すのが少し遅れる。
「わかってるよ、ものの例えで言っただけだから。
……でもそしたらどうするの?触るのNGって言うなら、これにてレッスン終了なんだけど。」
「えっ」
葵くんの顔に“想定外”の文字が浮かぶ。
真面目な顔したりあわあわしたり。
今度はフリーズまでするから、百面相にクスリと笑った。
「そりゃそうでしょ。
ちょうど今週末から夏休みになるし。いい区切りだね。」
――さて、どうするの?葵くん。



