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週が変わって水曜日。
葵くんのレッスン日。
屋上手前、いつもの場所。
「さ、始めよっか。」
この合図も定番になってきた気がする。
「今日は何を?」
緊張して固い顔の葵くんも定番だね。
「んー。あ、そうだ。」
悩んで唸って、それからこの間のことを思い出した。
「葵くん、ちゃんと女の子の目見てお話しできてたね。
偉かったじゃん。」
ぽん、と一歩葵くんの前に踏み出して、下から顔を覗き込む。
構えてなかった葵くんがぴく、と背筋を反らせて、恥ずかしそうに目を逸らした。
「……おかげさまで、一個克服できました。」
「うん。モテモテクズ男への第一歩だね。
ものすご――く小さな、だけど。」
肩を揺らしてくつくつと笑う。
バツ悪く歪んだ葵くんの眉毛がぴっと動いた。
「また一言余計!」
「ごめんごめん。今のは良くなかったね。」
言いながら、無防備にふわふわと軽いミルクティー色の髪に手を伸ばす。
小さな頭を覆うようにぽふ、と掌を乗せて、数回弾ませた。
「頑張ったで賞。ご褒美あげます。」



