「大丈夫。合意の上でやってるから。」
「そうくる!?まぁじゃあ、手加減してやってね。」
「それはまぁ、葵くん次第かな。」
そうこうしてる間に職員室に辿り着く。
2人で中に入って先生の机の下に段ボールを置いて、ミッションコンプリートだ。
「失礼しました」と頭を下げてドアを閉める。
耳が遠いって噂のおじいちゃん先生しかいなかったけど、ま、一応。
「ありがとね、桐谷くん。助かっちゃった。」
「どういたしまして。……ところでさ、」
別れようと思ったのに、話が続いて足が止まる。
「葵のクズ男のモデル、俺って知ってた?」
桐谷くんが自身ありげな笑顔で自分を指さした。
「……そうなんだ?でも大分方向性ズレちゃってるみたいだけど。」
爽やか王子と、クズ男だし。
「葵の方がたらしの適正あったみたいなんだよねー。
ちょっと言動に軽さ出すだけでクズ呼ばわりって、ある意味才能じゃない?」
「確かにね。」
んん?何が言いたいの?
思ったけど、雲行きが微妙に怪しくなってきたから飄々とした態度は崩さない。
予感通り、桐谷くんの唇がにやりと妖しく吊り上がる。
「ホントのクズは俺なのにね。」
その瞬間、理解した。
この男も、――嘘つきだ。



