「……まぁいいや。はい、再開。」
人差し指でくいくいと煽って、体勢立て直しを指示する。
ふー、と長く息をついた葵くんが、膝に手をつき気を引き締め直して私と向き合った。
大人っぽい顔立ちと、睨めっこしてる子どもみたいな表情がちぐはぐ過ぎてまた笑えてくる。
「ふ。……私ってさ、どうやら葵くんの魔の手に落ちてるらしいよ?」
ありえないでしょ、こんなお子ちゃま。
「それは……っ、ごめん。俺がクズなせいで優里さんの名誉に傷が……!」
琥珀色の瞳は簡単に揺らぐ。でもギリギリ逸れなかった。
「クズじゃないでしょ、葵くんは。」
クズなのは、噂だけ。
私の言葉に葵くんはびっくりしたような目になって、すい、と目線が下がった。



