◆◇◆
――10分後。
「――はい、5回目の目逸らし。減点1。
おでこ出して。」
「ゔゔ……!」
強く目を瞑りながら、葵くんは素直に両手で前髪を掻き上げる。
丸めた指を遠慮なく晒された額にあてがう。
バチンと鈍い音が踊り場に響いた。
「葵くん弱すぎ。ずっと目、泳いでる。
ちゃんと慣れる気あるの?」
言ってる間も私は目を離さないまま。
おでこを抑えて歯を食いしばる葵くんをジト、と睨む。
「ある!あるんだけど……、でも……!」
涙目の涼しい目がキッと細まる。
その目の中いっぱいに、うんざりしてる私の顔が映っている。



