覚悟したのか、葛城くんの顔から両手が外れる。
いっぱいいっぱいの熱のこもった目が、真っ直ぐ私を見た。
「――ゆ、……優里……。」
ただの音が、“優里”とちゃんと色を持っている。
だからうっかり面食らって、胸が一瞬不整脈を刻んだ。
葛城くんは「うわぁああ……」とまた顔を抑えて悶絶している。
これだけ感情を動かして呼んでくれたから、ちょっと特別に響くのか。
そう思ったら、震えるつむじが可愛く見える。
情けないそこに手を伸ばして、わしゃ、と雑に撫でてみた。
触れたミルクティー色の髪は、予想通り細くて柔らかい。
「よく頑張りました。
だから、ご褒美。」
首を傾けて葛城くんの顔を覗き込む。
口がぽかんと開いて、ぼふっと蒸気する音がした。



