通学路を抜け、最寄駅の改札を通ってギリギリで駆け込んだ先頭車両の最先端。
下校ラッシュからちょっと外れた時間帯の車両には、同じ学校の生徒は見当たらない。
角で向かい合って立っている葵が、チラチラと周りを見てそれを確認する。
それから身を屈めて、ほんの少しだけ私に顔を寄せて囁いた。
「……手、繋ぎたいんだけど。」
頬を赤らめて緊張した顔。
頑張っても泳ぎそうになってる目が可笑しくて、口元が弛むのを隠せない。
「いーよ、はい。」
キュッと手の平を重ねて握れば、葵の長い睫毛が揺れてぱちっと目が開く。
でもまだ唇は何か言いたそうにまごついている。
それが可愛くてふっと笑い声まで漏れた。



