不意打ちで葉澄さんが俺の胸に手を当てた。
触れられた瞬間、そこに電撃が走ったみたいにぶわっと体が熱くなって、虚勢があっさり崩壊した。
「う゛わぁあああ!無理!やっぱ、俺には無理!」
ガン!と反対側の壁に額を打ちつけて頭を抱える。
葉澄さんが冷たい目で呆然としてるのにも気付かない。
ただでさえ女子に免疫がないのに、
いきなり好きな人とキスなんて俺には到底無理だった。
それでも繋がりを切れなかった。
俺に向けられる目線や表情、その全部が嬉しくて。
俺が踏み外さないように、時々忠告するみたいに線引きする優しさも知ってしまったし。
それでも、気持ちが抑えられなくて無視して線を消そうとしたのは俺だ。
だから何度だって自滅して、苦い思いもたくさんしたけど。
優里さんの側にいられるならそれでもいいって、思うほど――
俺は、君が好きでたまらなかった。
SS/遠回りな恋をした side 葛城葵【完】



