――そして、翌日の昼休み。
「葉澄さん。」
俺は、初めて彼女に向かって名前を呼ぶ。
「あー。いたいた。
ね、今からちょっと時間くれない?」
心臓はすでにバックバク。
軽い笑顔も崩壊寸前。
昨日は他の男と絡んでた屋上前の踊り場で、
葉澄さんが今日は俺と向き合っている。
「……変なとこ見せちゃってごめんね?」
「いーよ。今から同じコトするから。」
余裕ぶって距離を詰めれば、甘い葉澄さんの匂いを初めて知る。
近すぎる距離にも動揺するのに、綺麗な黒目がずっと俺の姿を映してる。
(キスなんて、葉澄さんにとっては軽いもの。
できなきゃ終わる、できなきゃ……)
目を閉じれば大丈夫、と奮い立たせて顔を寄せる。
――なのに。



