――次の日から、爽の言動を真似て軽い男になってみた。
「葛城くん、LIME教えてくれない?」
「いーよ?……ってか、葵でいーよ。」
「ふぇっ!?」
フレンドリーに振る舞うだけで、世界はあっという間に変わった。
いつの間にか女子に囲まれるのが日常になって、
触れてもいないのに「クズ城葵」なんて呼ばれるようになった。
そのくらい劇的に世界が変わったのに、葉澄さんが俺を見ることは一度もない。
(……なんだろ。ここまでくると、もう意図的に視界に入れないようにされてる?)
廊下で止まらない女子トークに笑いながら、内心気落ちし始める。
2年に進級しても何も変わらず、
いつか目が合ったら話しかける――
そんな臆病なルールだけが増えた。
今日もたむろう前を横切る葉澄さんを、俺が目で追うだけ。
明日も明後日も、多分そうなんだろうなって
挫けかけた時だった。



