(……葉澄さんは?)
ドクドクと胸はまだ鳴っている。
緊張?ショック?なんの痛みだろうか。
しばらくして、ゆったりと落ち着いた足音が聞こえてきた。
見たくないのに見たいような。
正面で固定した視線を、また横に流してしまった。
俯いて、空っぽそうな横顔。
俺がいる開け放たれた教室の前で立ち止まるから、見つかったのかとドキッとする。
けれど葉澄さんが視線を向けた先は、廊下側の窓の外。
はぁ、と溜息を吐くように肩が小さく上下して、無機質にリップクリームを塗り直してた。
それがなぜだか、とても虚しそうに見えて。
恋心なんて砕け散ったはずなのに、頭の中がもっと葉澄さんだらけになった。



