「――葵、聞いてんの?」
「……あ、ごめん。なんだっけ?」
呆れ顔で眉を寄せる爽が深く息を吐く。
「また葉澄さん?
……てかさ、葉澄さんの変な噂聞いたんだけど。」
「え?」
「一部の奴が言ってるだけの嘘くさいやつだけど。
葉澄さん、男遊び激しいって話。」
ぽかん。
だってあまりに彼女のイメージと結びつかない話だ。
「――ないない、葉澄さんに限ってそんなこと。」
「だよなぁ。見るからに真面目な優等生だもんな。」
そんな根も葉もない噂、この時は軽く流しただけで終わった。
――根も葉もあったと知ったのは、それから1週間後のこと。



