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その日から、休憩時間の度に無駄に廊下に出るようになった。
(あ、葉澄さん。)
少しもこっちを見ない横顔や後ろ姿をただこっそり眺めるだけ。
毎日数回、ほんの僅かな時間見ているだけでも葉澄さんの良いところを思い知る。
行き道に紙屑が落ちてればさりげなく拾って捨てて。
放課後の開きっぱなしの窓は、他教室の前でも閉めてくれる。
先生の雑用も笑顔で引き受けて、挙句渋った他の人の用事まで代わる。
――後で聞いた話で優里さんは、「点数稼ぎだよ」って笑ってたけど、それにしては細か過ぎる気遣いが山ほどあった。
(あ――。好き。)
それを見つける度、つい頭の中でそう呟く。
呟けば呟くだけ、勝手に気持ちが積もっていった。



