淡い春の空にぴったりの、控えめなシトラスの香り。
顔を上げたら熱っぽい顔をした葵くんと目が合って、
こく、と喉が鳴った。
トクントクンと、密着したお互いの胸の音がせめぎ合う。
そうしたくてそっと目を閉じれば、唇に優しい感触が重なった。
一瞬で離れる余韻のなさ。
茹でダコみたいに真っ赤になって、そっぽ向く顔が愛おしい。
「葵くん。」
名前を呼べば、必死に素直にこっちを向く。
背伸びをして顔を寄せ、ちゅ、と短くその唇にキスをした。
「鼻、ぶつからなかったね。」
「なっ……!」
ドギマギ顔ににやりと微笑む。
照れ隠しの意地悪を、ちょっとだけゆるしてね。



