「優里は葛城くんと遊んだりとかしないの?」
無邪気な顔が私を覗く。
心臓がドキ、と跳ねて、戸惑って視線を地面に落とした。
「春休みは――会わないかな。約束してないし。」
「えーっ今からでも誘えばいいじゃない!
いいなぁ、私もデートしたーい!」
――莉央の中では、私が葵くんを誘えばデートが確定するらしい。
笑って誤魔化すけど、内心結構動揺してる。
莉央視点では私達は友達以上恋人未満どころか、恋人一歩手前くらいに見えてるみたいだ。
目的の駅に着くアナウンスが鳴って、人の少ない駅で降りる。
春の生温い風に紛れて、磯の香りがふわりと香った。
「うわぁー、見て見て!もうすぐそこに海があるよ!」
無人の改札を出ると、莉央が跳ねるように走り出して振り返る。
淡い空色に滲むように地平線に広がる群青に、私も心を奪われた。



