◆◇◆
「へー、海!いいね。」
夜。
自室の机にテキストを広げながら、傍に置いたスマホで葵くんと会話する。
「寒い気もするけどね。
葛城くんは?春休み、何するの?」
「俺は――爽とかと、その辺で遊んだり?」
“とか”に気まずさを感じた。
多分メンツに女子も混ざってるな。
「そっか。ぼんやり決まってるだけって感じね。」
ふふ、と笑って問題を解く手を進める。
スマホの向こうに微妙な間ができた。
「……女子もいるんだけど。」
「そうなんだ。」
また沈黙。
別に、葵くんは何も悪いことしてないのに。
「あ、そうだ。葛城くんが言ってた芸人の動画、見たんだけどね……」
空気を切り替えたくて話題を変える。
今は葵くんと向き合おうとしてるからこそ、直面するのを避けてしまう。



