「聞いてよ葵〜、さっき最悪なことがあったの!」
「えー、また?」
「違くて、今度のは……」
廊下に出れば、桐谷くんと葵くんを囲む派手なグループが相変わらず幅を利かせている。
本命彼女を作れることが判明したクズ城葵がフリーになった今、女の子の熱が更に増している気がする。
「もう女の子侍らせてヤな感じ!
気にしないで行こ!優里!」
そう言って莉央が、自分の教科書を私の顔横に翳して視界を狭める。
私より気にしてるじゃない、と莉央らしい優しさが可笑しくて笑ってしまった。
たむろって道幅が狭くなっている葵くんの目の前を、何食わぬ顔で通り過ぎる。
女の子達が勝ち誇ったみたいな顔してチラ見してくるのを莉央が睨む。
桐谷くんが「あ。」という顔をして、
葵くんは――吸い込まれるみたいに歩く私を目で追いかけた。



