「――葵くん。私、本当のことが知りたい。」
不安を握りしめたその手に、触れてもいいかな。
そっと手を伸ばして指先で触れれば、葵くんがびくりと揺れた。
震えるほど硬い拳が、時間をかけて緩んでいく。
縋るみたいに手の平を返して、ずっと添えていた私の指先を弱々しく掴んだ。
「……一目惚れ、した人がいて、」
ようやく動き出した唇から、静かに真実が紡がれ始めた。
「その人が、……男遊びしてることを、知ってしまって、」
何か言えば、開いた扉が閉じてしまいそう。
だから、ただ黙って手を握るだけ。
「――ショックだったし、やめとけって爽にも言われた。
……けど、やっぱりどうしても好きで、」
胸の奥がじんとする。
温かいのに、痛い。
「遊びでもいいから、目に留まりたくて。
……好みの男になりたくて。
嘘を、吐きました……」



