「大事な幼馴染を傷付けてごめんなさい。
今度はちゃんと向き合うから。
……それでもし、また傷付けたら……
フォローをお願いしてもいいかな?」
静かに下げた頭を桐谷くんはじっと見下ろす。
それから、脱力して短く溜め息を吐いた。
「葉澄さんって軽いのか重いのかわかんない人だね。
……いーよ、わかった。好きにして。」
「うん、ありがとう。」
――それから桐谷くんが先に出ていった教室で、私は1人で机に軽く腰掛けた。
カチ、コチと古いアナログ時計の音が単調に時を刻んでいる。
胸の中には葵くん。
今すぐにでも走っていきたかったけど、もうチャイムが鳴るから逸る気持ちを深呼吸で押し込めた。
“そんなはずない”と避け続けてきたものが、急に目の前に飛び出してきて覚悟を迫る。
(話をしよう。ちゃんと。)
嘘をつかず、正直に。



