遠くに廊下で盛り上がる生徒達の声が、空き教室のドアを閉めると遮断される。
暖房もついていないここは、柔い日差しは入り込んでいるけれどひんやりとしている。
いつも爽やかな笑顔を浮かべて軽い態度の桐谷くんが、私の方を向くと急にピリッと真面目な顔になった。
「ねぇ、葵になんかした?」
わざわざ呼び出すなんて理由はひとつだとわかっていたけど、いざ葵くんの名前が出てくるとギクリとする。
何と答えるべきなのか。
迷っていると桐谷くんはさらに畳み掛ける。
「最近アイツ変なんだよ。空元気ってゆーの?
聞いても何も答えないし。」
じわりじわりと胸に罪悪感が広がる。
わかっていたけど知らんふりしていたものを第三者から突きつけられて、直視しなくちゃいけなくなった。



