純情*ライアー


――1週間後の水曜日。



2人きりの屋上の踊り場には、和やかな空気が流れていた。



「さっきの数学の授業で答えられなくてさ、3秒前に教えたとこもう忘れたのかってめちゃくちゃ怒られて!」

「あの先生そういう時すごい嫌味言ってくるもんね。
ちゃんと授業聞いとかないと。」



2人並んで屋上に続くドア手前の段差に座る。



距離は近いのに触れ合わなくて、“練習”とか“彼氏彼女”とか、そういった類の言葉は出てこない。


クスクスと笑い声が咲く、不自然に穏やかな昼休み。



こうしてると友達みたいだって、この普通さが不思議だった。




話題の途中で予鈴が鳴る。


笑いで震える肩を息を吐いて落ち着かせて、「戻ろうか」と立ち上がった。



一拍遅れて、葵くんも立ち上がる。


階段を降りる靴音が二重に響いて、そこでまたぽつぽつと会話する。



先に葵くんの教室に着いた時、葵くんが入り口で立ち止まった。


「また放課後。迎えにいくから。」

「……うん。また。」