キンと張り詰めて不規則だった胸の音が落ち着いていく。
先輩が顔は引き攣らせながら、葵くんとの対峙を避けてまた私のことを見た。
「面食いかよ。清楚そうな顔して、ホントこういうタイプ好きな。」
咄嗟に言い返そうとして肩が揺れた葵くんの袖をキュッと掴む。
それから、一歩前に出て葵くんの隣に並んだ。
「葵くんはそういうのじゃありません。
……もういいですか?今カノさんもきっと待ってますよ。」
私が真っ直ぐ向き合ったら、先輩はついに押し黙る。
葵くんの袖を掴む手に少し力が入って、でも、だから勇気が出た。
「行こ、葵くん。
……じゃ、さよなら。」
くるりと背中を向けて歩き出す。
それが案外スッキリして、気付いたら心が軽くなってた。



