「…………。」
喉の奥で言葉が詰まって出てこない。
行き交う人からは私達は連れ合いくらいに見えているのだろう、風景の一部として意識もされず通り過ぎていく。
「ていうかほんと、可愛くなったよね。
垢抜けたカンジ?男がほっとかないんじゃない?」
さりげなく舐めるみたいな視線に、情なんてものはない。
それでいて、私の情を刺激しようとする言葉選びだ。
わかっているのに胸は鳴る。
その分だけ顔を顰めた。
先輩の背中越しに自動ドアから出入りの音楽が鳴る。
それからミルクティー色の髪が見えて、葵くんだと思った頃には先輩との間に葵くんが立ち塞がっていた。



