「……クズの抱き締め方にしては優し過ぎ。60点。」
「喜んでいいのか微妙な点数。」
ふは、と葵くんが噴き出す声が頭上に聞こえる。
もうちょっとこのまま。
……なんて言える関係でもキャラでもないから、「もういいよ」と胸をそっと押し返す。
あったかい熱と爽やかな香りは、いとも簡単に離れていった。
「葵くんはさ。今まで誰かと付き合ったこととか、ある?」
「えっ」
葵くんが痛いとこ突かれたみたいに大きい声を出す。
その反応が質問の答えになっている。
「ないか。あったらこんなにピュアじゃないもんね。」
「ピュアじゃないけど!……その通りです。」
葵くんはぐぬぬ、と強がりたかったみたいだけど、頷くしかなくて肩を落とす。
それから眉を寄せて微妙な顔して私を見た。



