純情*ライアー


ぽろっと出た無意識の自分の言葉に驚いた。
葵くんも同じようにびっくりしている。



出した手前もう引っ込めることはできなくて、「ん。」と控えめに手を広げてみる。



いつも通りに葵くんが戸惑うように視線を右、左と彷徨わせて最後にじっと私を見る。



私が広げた腕の下に自分のそれを差し込んで、ふわ、と優しく私を包んだ。



甘い見た目に反した仄かで爽やかなシトラスの香りが胸を満たす。



耳に響くトクントクンと落ち着かない鼓動は、もうどっちのものかわからなかった。





「……どうですか、先生。」


抱き締めると表すのは違うような、体が触れたり触れなかったりするほど控えめな抱き寄せ方。



強く抱き締められるより、今日の私にはずっと効く。