バランスを崩してよろける。
慌てて私を受け止めようとした葵くんが飛び込んできたみたいになって、2人一緒に目の前の布団の上に倒れ込んだ。
「……痛……ったた、」
尻餅をついて、反射で閉じてしまっていた目を開ける。
真上に葵くんのドアップが飛び込んだ。
同時に目を開けたのだろう、見開いた目がぶつかり合う。
驚いて深く息を吸い込んだ時――
女物のシャンプーの香りに掻き消されてた葵くんのシトラス系の香りが胸に留まった。
「――ごめん、大丈夫……?」
余裕なさそうな顔して、発する言葉はへたれで優しい。
でも私に覆い被さったままで、ギリギリなんだというのはわかる。
(我慢しなくたっていいんだよ、葵くん。)
だってこれは遊びで、
そういう練習、でしょ?
それでも絶対、葵くんは踏み越えない。
自分の経験や好奇心より、他人を大切にする人だから。
だから、葵くんに対して半端になる。
弄ぶつもりで、そのくせ気まぐれに大切にしてみたり。
葵くんの熱暴走を、正してあげることもしないで。



