純情*ライアー


◆◇◆


葵くんの部屋は、階段を上がってすぐの部屋。

出入りさえ上手くやれば、忍び込むのは案外簡単だった。



2人しかいない部屋に物音以外の音はない。


たまに廊下からどこかのクラスの男子が、バカ笑いしながら通り過ぎていく声が聞こえた。



6人分の敷布団が並んだ和室の隣、脱衣室の洗面台の前に椅子を移動させて座る。


その後ろに葵くんが立って、ドライヤーのコンセントを電源プラグに差し込んだ。



「――失礼します。」


ガチガチに緊張した声。鏡越しに見る表情も固い。


「はい、お願いします。」


私の顔も鏡に映って葵くんに見られてるから、余裕な顔して笑いかけた。