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葵くんの部屋は、階段を上がってすぐの部屋。
出入りさえ上手くやれば、忍び込むのは案外簡単だった。
2人しかいない部屋に物音以外の音はない。
たまに廊下からどこかのクラスの男子が、バカ笑いしながら通り過ぎていく声が聞こえた。
6人分の敷布団が並んだ和室の隣、脱衣室の洗面台の前に椅子を移動させて座る。
その後ろに葵くんが立って、ドライヤーのコンセントを電源プラグに差し込んだ。
「――失礼します。」
ガチガチに緊張した声。鏡越しに見る表情も固い。
「はい、お願いします。」
私の顔も鏡に映って葵くんに見られてるから、余裕な顔して笑いかけた。



