「早く乾かさないと風邪引くよ?」
周りには背中向きの、心配そうにしょげる顔。
可愛いなって、心が緩みそうになる。
――こうやって絆されてしまうから、最近弱ってばかりなんだ。
“葵くんをクズ城葵にする”
その目的があるから一緒にいることを、忘れちゃいけない。
「じゃ、葵くんが乾かして?」
耳打ちするみたいに、小声で。
「え?」
不意打ちし返された葵くんが、ドキッとしてる顔になる。
「葵くんの部屋、今誰もいないんでしょ?
女子部屋行ったって話、聞こえてたよ。」
“恋人ごっこ”なんて可愛い名前だから甘くなり過ぎてた。
「“練習”しようよ、久しぶりに。」
嘘を上塗りして忘れかけてた関係を思い出せば、
私も葵くんも、最後にきっと傷つかなくて済む。



