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「おかえり!ねぇねぇどうだった!?
葛城葵は♡」
チャイムが鳴る数分前には教室に辿り着く。
私の姿を見つけた途端、はしゃいだ莉央が飛びついてきた。
「あ――――――、……ね?」
困って視線を彷徨わす。
言うにしたってここではね?他の人も聞き耳立ててるし。
「えっ♡ウソウソ!
優里が言い淀むなんて初めてじゃない!?
そんなにすごかったの〜!?」
キャー!と莉央が赤らんだ頬を手で覆う。
外野の耳も大きくなってる。
なんか知らないけど勝手に妄想してくれて助かった。
……けど、こうして“クズ城葵”ができたのかと思うと、ちょっと可哀想になった。
(――いやいや、そんなの葛城くんの自業自得だし。)
そうしてる間にチャイムが鳴る。
すぐ着席して支度をした。
私を見てごらんよ。
授業もサボらず真面目に受けて、おまけに成績優秀。
遊ぶ人だって選んでるし、男女問わず誰にでも優しくする。
だから品行方正な優等生像を崩さず、優雅に遊べるの。
退屈な日本史の蘊蓄話をさも面白そうに聞きながら、手持ち無沙汰に持っていたシャーペンをぎゅっと握る。
自己プロデュースって言うのはね?
こうやってやるの。
――なんて独り言、言ったところで届かないんだけど。



