純情*ライアー


◆◇◆

「おかえり!ねぇねぇどうだった!?
葛城葵は♡」


チャイムが鳴る数分前には教室に辿り着く。

私の姿を見つけた途端、はしゃいだ莉央が飛びついてきた。



「あ――――――、……ね?」


困って視線を彷徨わす。

言うにしたってここではね?他の人も聞き耳立ててるし。


「えっ♡ウソウソ!
優里が言い淀むなんて初めてじゃない!?
そんなにすごかったの〜!?」


キャー!と莉央が赤らんだ頬を手で覆う。
外野の耳も大きくなってる。


なんか知らないけど勝手に妄想してくれて助かった。


……けど、こうして“クズ城葵”ができたのかと思うと、ちょっと可哀想になった。



(――いやいや、そんなの葛城くんの自業自得だし。)


そうしてる間にチャイムが鳴る。
すぐ着席して支度をした。


私を見てごらんよ。


授業もサボらず真面目に受けて、おまけに成績優秀。

遊ぶ人だって選んでるし、男女問わず誰にでも優しくする。


だから品行方正な優等生像を崩さず、優雅に遊べるの。


退屈な日本史の蘊蓄話をさも面白そうに聞きながら、手持ち無沙汰に持っていたシャーペンをぎゅっと握る。



自己プロデュースって言うのはね?
こうやってやるの。




――なんて独り言、言ったところで届かないんだけど。