思わず出しかけた足を引っ込める。
静まり返った校舎から、より音がなくなった気がした。
「みんなが素通りする様なことをさりげなく整えていくところとか、
淡白そうに見えてつい困ってる人に手を差し伸べるところとか。
――そういうところが、好き。」
……設定、リアルすぎでしょ。
まるでずっと見てたかのような台詞。
葵くんはどんな顔してそんな嘘をついているんだろう?
こく、と飲み込んだ唾の音が耳奥で響いて、熱くなった頬を手で押し上げる様にして耳を塞ぐ。
トクントクンと、籠る鼓動が脳を侵した。
「っ、そんなの葵じゃない!」
泣くのを堪えてるみたいな愛梨さんの声がして、走る足音が近づいてくる。
バン!とドアに手をついてこちら側に飛び出してきた愛梨さんと、しっかり顔を合わせてしまった。



