「おはよう、葵くん。……と、桐谷くん。」
「えー、なにそのついで感。
ね、俺も一緒していい?」
言いながらもう歩き出してるから、返事なんて聞く気ないのがよくわかる。
葵くんが後ろでこっそり、“ごめん”と私に片手でジェスチャーした。
ほぼウチの生徒しか歩いてない通学路を3人で歩く。
桐谷くんもモテモテの有名人だから、ざわつきも倍になってちょっと居心地が悪かった。
「付き合ったんだってね。葵と。」
「うん、おかげさまで。」
観察する様な余裕たっぷりの笑顔に、私も毅然として微笑む。
付き合ってる“フリ”なのは誰にも秘密。
だから桐谷くんは練習のことは知ってても、恋人ごっこのことは知らない。



