純情*ライアー


大袈裟だなあ。
平気だよ、このくらい。


――思ったけど、葵くんがあまりに必死過ぎるから、笑って頷くだけに留めた。



「そういえば私、どうやってここまで来たの?
保健の先生もいないみたいだし……」


「そ、れは、その……」



まだ不安そうな葵くんの顔に、ちょっとだけ気まずさが滲む。


それから申し訳なさそうに私を見つめて口を開いた。



「俺が運んで……でも変なトコ触ってないから!
保健の先生だって最初はいたし……俺のことすごい警戒してたから、だから、何もないから!」



ぽかん。


誰もそんな心配してないけど。

可笑しくてついつい噴き出した。



「ふっ……寝込み襲うかもって先生に警戒されるって、クズ城葵も大変だね。」

「ホント居辛くて……!
でも途中で大丈夫かって思ってくれたみたいで、留守任されるくらいになったから!」


ベッドを囲むカーテンの閉ざされた空間には、私の笑い声が小さく響く。



空いた窓から、すごく遠くに体育祭の閉会式のアナウンスが聞こえてきた。