ピストルの音で向かい合うスタートラインに立った女子達が一斉に走り出す。
その波に遅れて、私も自分なりの全力で走った。
「ゔ――……!優里、離さないでね……!」
「……ん、わかってる……!」
敵と2対2でタイヤを引っ張り合いながら、味方がくるまでなんとか引きずられない様に踏ん張る。
すぐ近くでも同じ様な攻防が続いていて、あちこちで砂を擦る音と踏ん張る声が聞こえてくる。
(……やば、負けそう……!)
強い引力に手が震えてきた時、隣でタイヤを引き合ってた味方が私達の方にタイヤを薙ぎ払う様にして引っ張った。
予想外の動きに隣の敵がタイヤを手放す。
勢い余って振り抜かれたタイヤが、何も見てない私に迫る。
ドッと体に鈍い衝撃を感じたと思ったら、体が吹き飛ぶ感覚がしてタイヤから手が離れていく。
ドサッと倒れ込んだ瞬間、脳に星が飛んでクラクラした。
「優里!!」
――遠くで葵くんの声が聞こえる。
それを最後に、フッと意識が失くなった。



