手を振り回すたびに滴る水がキラキラ飛び散る。
呆れて笑いながら、ポケットのハンカチを取り出す。
それから、そのハンカチを水が伝う葵くんの頬に宛てがった。
「2位でも充分過ぎるでしょ。カッコよかったよ。」
じわ、とハンカチに水と少し落ちていた染髪用のカラースプレーのピンクが滲む。
私を見つめる葵くんが、目を見開いてごくっと喉を鳴らした。
「……ありがとう。」
聞こえないくらいの小さな声で呟いて、頬に当てたハンカチを辿々しく引き受ける。
反対側もびしょ濡れなのに、弱々しく目を伏せてしばらくそのまま頬を押さえていた。
「葵!」
賑やかな音から飛び出して、葵くんの後ろの方から明るめの女の子の声がする。
少し上体を傾けてそちらを見れば、声色通りの印象の子が立っている。
軽やかな印象のボブヘアには、葵くんとお揃いのピンクメッシュ。
応援幹部と一目でわかる派手なピンクのミニスカート。
名前は知らないけど、いつも廊下で葵くんを囲んでいる女の子の内の1人だ。



