純情*ライアー




「関係はないけど、葵くんとの練習が終わるまでは他の人とは遊ばないって約束しちゃったから。ごめんね?」



ずいぶん近い距離から抜け出すと、出入り口のすぐそばの棚と壁の隙間に立てかけられた背の低い脚立を見つける。


「あ、あったあった。桐谷くんが来る前、これを探してたんだよね。」


何事もなかったかのように小走りで脚立を取りに行き、目当ての資料がある棚の前にそれを立てる。

カンカンと軽い金属音を立てて乗り上げると、欲しい資料は簡単に取り出せた。



「言ってくれたら俺が取ったのに。」

「まだ片付け残ってるのに悪いなと思って。
でもあとちょっとなら手伝うのここまででいいかな?
そろそろ戻らないと莉央が拗ねちゃうから。」

「――あー、うん。ありがとね。」


桐谷くんのお礼を背中に聞いて、まとめておいた資料を抱えて資料室を後にする。


廊下に出た途端の空気は、空いた窓から新鮮な風を取り込んでいて、清々しい。




脳裏にはまだ葵くん。


(――調子狂うなぁ。)

ヘタレのお子ちゃまのくせにって、頭の中で何度も唱えた。