「……とにかく。桐谷くんとは遊ばないから。」 ふい、と背を向けて片付け途中の資料を手に取る。 すると、桐谷くんが追いかけてきて私のすぐ後ろに立った。 「葵と俺の関係に気ぃ遣ってって理由でしょ? でも付き合ってないなら関係なくない?」 ――そうだよね、ほんと、そう。 背の高い桐谷くんが、光を遮ったせいで手元が影る。 『男遊びなんてやめてよ、優里さん。』 悲しそうに必死に私を抱きしめた葵くんの声と温度が、理屈抜きで私のことを引き留める。 くるりと体を反転させて、桐谷くんの顔を見上げた。