「だから、はい。おでこ出して?」
それもそうかと納得してしまって、ゆっくりと自分の前髪を掻き上げた。
「じゃ、覚悟してね。」
葵くんがそう言うから、ギュッと目を瞑ってデコピンの衝撃に備える。
――だけど、最近の葵くんは常に予想の斜め上をいく。
視界の暗さが急に濃くなって、何かが迫る気配がする。
ふ、と熱っぽい吐息と清涼感のある葵くんの匂いが強くなったのを感じた後――
額に当たる衝撃は、ふに、と柔らかかった。
よく知ってるはずなのに、別物みたいに甘過ぎる唇の感触。
心臓が飛び出るほどドクンと脈打って、反射で目を開ける頃にはもう葵くんは離れている。
「これで許してあげる。」
口元に手を当てながら、パッと顔を背けた時にこっちを向いた葵くんの耳が赤い。
ドキドキと耳の奥で、私の胸が煩いくらいに騒ぎ出す。
思わず抑えた額は、熱でもあるのかってくらい熱かった。
(――や、やられた……!)
激ピュア男子葵くんは、ちゃんと男の子だった。



