吸い込まれそうな澄んだ瞳。
緊張で震えてる唇。
覚悟した割に迷うように肩に置いた手の力が緩んだり強まったりして、葵くんの感情の揺れを正直すぎるほどに表している。
それがあまりにも生々しくて、雑念が入った。
(――もしかしなくてもこれ、葵くんのファーストキス?)
急に葵くんのキスがとても綺麗な聖域のように思えて、血の気が引く。
唇同士の距離はもう数センチで、咄嗟に顔を背けて避けた。
「……優里さん?」
目を瞑りかけていた葵くんが、面食らった顔して動きを止める。
私自身も自分の行動に驚いていて、気まずい空気がその場を満たした。
「…………ごめん。
葵くんの気持ち、考えてなかったね。」
何言ってるんだ、私。



