純情*ライアー


◆◇◆

――2日後。水曜日の昼休み。


いつもの踊り場で私は葵くんをジト、と睨む。


睨まれる心当たりのない葵くんは、半笑いしながらたじたじになっている。



「なんか優里さん、怒ってる?」

「……怒ってないけど。ここ最近の葵くんの成長ぶりに恐れをなしてるだけ。」

「どういうこと!?っていうか成長してる?俺。
それなら嬉しいけど……」

「褒めてはないから。」


ピシャン、と言い放つと、葵くんは「ハイ」と素直に小さくなる。



ここで一気に流れを戻さないと、気付いたら葵くんのペース……なんてことになりかねない。



侮りがたし、天然たらしのピュア男子。
今後はもっと気を引き締めていかないとね。



「……で、先生。今日の練習は……」


気まずそうな葵くんがチラリと私の顔色を窺う。



その顔が完全に怒られた後の犬。


弱そう過ぎて引き締めたばかりの肩の力がズル、と抜けて、切り替えるために息を吐いた。