君がいてくれて。

今日はついに樹くんの治療が終わって戻ってくる日。
紘くんは朝早くから私たちの病室に来てくれて今か今かと帰ってくるのを待っていた。
「あとどれくらい...?」
「あと1時間。聞くの何回目よ(笑)。そんな焦らなくてもちゃんと帰ってくるからさ。」
「でも...。」
...どちらかと言うと今か今かと焦っているのは私の方なのかもしれない...。
紘くんは隣で窓の外の写真を撮っていて私はその横で
ベットの上で体育座りをしていた。
「優花ちゃん、この写真見て。」
そう言って紘くんは私の方に写真が写ったカメラの画面を向けた。
「えっ...凄い...!」
初めて紘くんとあった時に見せてもらった写真とはまた違った雰囲気を出している写真。
季節が変わると写真から感じられる雰囲気もこんなに変わるのかと驚いた。
「季節が変わるだけで写真からでる空気感も変わってくるんだよね。特に桜の木があると春は花が咲いて夏は葉がたくさんつくし、秋は紅葉、冬は雪を被るでしょ?色々な顔を見せるのが面白いよね。」
その後も紘くんに写真を見せてもらったり撮り方を教えてもらったりしていたらいつの間にか1時間がすぎていて病室のドアが開く音がした。
「樹くん...!」
「樹!」
2人でカーテンを勢いよく開けると星川先生と立っている樹くんの姿があった。
「ただいま!優花ちゃん!紘!」
樹くんはいつもの優しい笑顔を浮かべると私達の方に歩いてきた。
「あらっ?紘くんじゃない。樹くんのこと待っててくれたのね。戻ってくるのが遅くなってしまってごめんなさい。」
「いえ。自分が勝手に樹のこと待っていただけなので全然大丈夫です。」
「2人ともごめんね。心配させちゃったし、その上、今日も待っててもらっちゃって...。」
「ほんとだよ!心配したんだから...!」
紘くんはそう言って樹くんの背中を叩いた。
「いたっ!力強いわ(笑)!...えっと、優花ちゃんもごめんっ。心配かけちゃって...。」
「そんなっ...!気にしないで...!謝ることじゃないよ。樹くんの体調が良くなるためなんだからっ。」
樹くんはひとつも悪いことしてないし謝る必要はまったくない。
「...ありがとう...!」
私が微笑むと隣で紘くんが悪い顔をして樹くんに何か耳元でこそっと伝えたあと樹くんの顔が一気に赤くなった。
『優花ちゃん、樹がいなくて寂しがってたぞ〜。』
「なっ...!ちょっと...!後からでいいだろっ。」
「樹くん...大丈夫?まだどこか体調悪いんじゃ...。」
「だ、大丈夫だから...!気にしないで...!紘!余計な事しないで!」
「はいはい(笑)。この話はあとね。」
紘くんが樹くんに何を言ったのかは分からなかったけれどその後は3人で1週間ぶりに時間を忘れてお話をして楽しい時間を過ごした。