栗色のまっすぐな髪に、端正な顔立ち。
高い身長に、長い手足に、小さな顔。
イケメンで、骨格まで優勝しているのに、何もやらせてもそつなくこなすという隙のなさ。
翡翠は私の完璧な一番星だった。
…が、私の一番星は当然だが、世間に見つかり、もうすっかり私の応援などいらない、遠い存在へとなってしまった。
私は高みを目指す誰かに尽くし、応援することが好きだ。
翡翠は最初、ダンスも歌も習ったことのない、芸能事務所にさえ所属していない、かっこいいだけの素人だった。
サバ番で翡翠は、アイドルになりたいプロのアイドルの卵たちの中で、いつも初めてのことに苦戦し、もがいていた。
その姿が私のオタク心をくすぐった。
何もないところから努力し、0から1を作る。
これがどれほど大変なことか、ずっと見守っていただけの私でも痛いほどわかる。
しかし、今の翡翠にはもうその必死さはない。
2年も技術を磨き続けた結果、翡翠はアイドルとして成長し、なんでもできるようになった。
1年前からは、俳優業、モデル業にも挑戦し、それさえも難なくこなしている。
私の星は手の届かない、みんなの星になったのだ。
そう気づいた1ヶ月前、突然いつもの感覚に陥った。
ーーーもう、翡翠に何も感じなくなった。
あんなにも姿を見るたびにときめいた胸は凪ぎ、毎日追いかけていたSNSも見なくなり、彼についてSNSで発信することもなくなった。
ライブ配信も見ない、グッズにも興味が湧かない、チケット争奪戦にも参加しない。
私の中で翡翠はもう推しではなくなったのだ。



