推し変には、ご注意を。



〝ねね〟だけが特別なわけではない。
〝こはる〟も〝すみ〟も〝るる〟もたくさんのアカウントが俺の心を掴む。

彼女たちの存在が、俺を前へと向かせてくれるのだ。

番組が進むにつれ、脱落者も出始め、それと同時に残ったメンバーの注目度もどんどん上がっていった。
大手事務所所属ではない、ただの一般人だった俺は、番組後半になると、デビュー圏内を目指せるほどの人気を集めていた。

その結果、俺にはファンだけではなく、アンチもついた。



『素人のダンス。何もかも汚い。踊ってほしくない』

『全部同じ表情で感情移入できない』

『性格悪そう』



毎日流れてくる俺への誹謗中傷。
最初の頃はなかったナイフのような鋭い言葉たちに、俺はさすがに意気消沈した。

もう、辞めようかな。

そう思ってしまう時が、何度もあった。

だが、それでも辞めなかったのは、〝ねね〟が居たからだった。



『ダンス、確実に上手くなってる。翡翠には華がある。必ず目で追っちゃう』

『表情は硬い時もあるけど、そこにはちゃんと緊張とか、一生懸命さがある。翡翠なら絶対いつか完璧な表情管理を見せてくれる』

『翡翠はいつも周りを見て、明るく声をかけている。性格が悪いわけがない』



〝ねね〟が毎日、俺を励ます言葉をこの世に投げてくれる。それを見るたびに、俺は胸を高鳴らせた。
誹謗中傷なんて気にならないほどに、俺は〝ねね〟の言葉だけを頼りにした。