「これからも陰ながら応援してるよ、翡翠」
私は確かに目の前に翡翠に、笑顔でエールを送った。
そんな私に、翡翠はふわりと笑った。
「…ありがとう、ねねさん。ねねさんは今でも俺が好き?」
「もちろん!」
「一番?」
「…え、あ、う、うん!」
翡翠の問いかけに、一瞬言葉を詰まらせる。
私の一番は今は透くんだ。
だが、それを昔の推しに直接伝えるのは違うだろう。
翡翠にはたくさんのファンがいるけれど、それでも「アナタが一番だ」と誰からも言われたいはずだ。
ましてや、ファンだったと名乗る者が、「今は違います」と言うなんて、あまりいい気分ではないだろう。
私は誤魔化すように硬く笑うと、つい翡翠から視線を下へと落とした。
「好き〝だった〟。ファン〝だった〟。ぜーんぶ、過去形。ねねさんにとって、俺はもうねねさんの一番星じゃないんでしょ?」
「…え」
聞こえてきた翡翠の声音があまりにも低く、私は思わず目を見開く。
約2年半も翡翠を見てきたが、こんな声、聞いたことがない。
驚いて視線をあげると、そこには変わらず私に甘く微笑む翡翠がいた。
…が、その瞳は何故か、曇っていた。
まるでこれから雨が降る、どんよりとした雲のように。
翡翠のわずかな変化に、私の中で警告音が鳴る。
何故なのかはわからない。
「い、一番星だよ。本当に。私は翡翠を応援していて…」
「嘘つき」
慌てて嘘をついた私に、翡翠は笑顔のまま、冷たく言い放った。



